今日の献立
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童話に出てくるかぼちゃの馬車のような日本南瓜(カボチャ)。
最近また作られる農家さんも増えてきましたが、数は少ないです。



昔から日本料理にはこちらのかぼちゃがよく使われてきましたが、ホクホクとして甘みの強い西洋かぼちゃの方が人気があるようです。

日本かぼちゃは黒皮かぼちゃ、小菊などとも呼ばれます。
ねっとりとした身質で上品であっさりとした感じ。
お出汁にもよく馴染み、私はよく使います。



サイズは小さく柔らかいので、ご家庭でも簡単にカットできます。
皆さんも一度使ってみて下さい。
黄金出汁‥‥これがないと当店のお弁当は作れません。
朝店に入り、すぐに寸胴に火をかけて、コトコト炊くこと小1時間。
中には天然の真昆布と数種類の削り節。
削り節は厚切りですので、時間をかけて抽出します。

お吸い物などに使うお出汁はあまり煮込みませんが、炊き込みご飯用には濃厚なお出汁が必要なのです。
このお出汁がご飯とおかず、お味噌汁の素となります当店の命です。

昨今は一からお出汁をひくお弁当屋も少なくなりました。
でも私は料理人の端くれとして、これだけは守って行きたいと思っています。

 黄金出汁

先日の鯛メシはご好評をいただきまして早めの完売でした。
せっかくご来店いただいたお客様にはご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。

それからもう一つ申し訳ございません。
私の聞き間違いか業者の勘違いか、産地は鳴門の真鯛でした。
こちらは明石と並んで最高の漁場です。
素材は一級品で、申し分のない真鯛でした。

また、530円とは安すぎると大変ありがたいお言葉もいただきました。
が、逆に本シシャモご飯は高いとお叱りも受けました。
私としては精一杯お安く販売したつもりでしたが、樺太シシャモと混同されては致し方ありません。
これからは解りにくい素材は控えようかと考えさせられました。
以上、嬉しいお話と残念なお話でした。

料理のお味は、素材が8割で腕が2割なんて言われます。
料理人からしてみれば聞き捨てならない言葉です。(笑)

もちろん良い食材が無ければ美味しい料理は作れませんが、良い素材はあまり弄り倒すなよと言うことでしょうか?
当店では野菜と魚介類を使ったお弁当ですが、加熱や味付けは最小限に留めているつもりです。
素材本来が持つ甘みや旨み、また食感などは、できる限り残したいと考えています。

味付けに欠かせない調味料。
以前のお店ではそれなりの対価をいただいておりましたので、極上品を使用しておりました。
今はワンコインのお弁当の販売ですが、それでもできる限りのこだわりを持って選んでいます。
その中でもお醤油の選別には時間がかかりました。
料理店でよく使われるのは、関西ではキッ◯ーマンで関東ではヤ◯サが多いようです。
お醤油作りは素材(大豆・小麦・塩)はもちろん、菌で決まります。
私はどちらの醤油菌も好きではないので違う銘柄を使っています。

yuasasyoyu.jpg 生一本黒豆醤油

写真は先日お客様からお土産でいただいた湯浅醤油。
和歌山の小さなメーカーですが、杉樽で寝かすこと2年。
昔ながらの製法で真面目に作っている醸造元です。
当店では「贅沢ポン酢」に湯浅の再仕込み醤油を使用しましたが、そのコクとまろやかさは流石の一言でした。

それから、高級なお醤油は煮炊き物には使用なさらないで下さい。
基本は生で、加熱すると香りが飛んでしまいます。
もちろん煮物に使っても悪くはないのですが、その場合は分けて投入するように使いましょう。
または最後の香り付けで使うと効果的です。
料理を始めて27年。
自分の味はある程度確立できていたのですが、今の店を始めてからは一からのスタートでした。
当初は以前の料理屋の味つけそのままでしたので、「薄い」とか「水っぽい」とか言われたものです。(苦笑)

お出汁(ダシ)を利かせて、できる限り調味料は使わない。
素材の味を生かす為ですが、そんな料理に馴染みがない方にとってはやはり物足りなかったのでしょうか?
特に最近のコンビニや外食の味に慣れてしまった現代人の舌には無理もありません。
私も時々勉強の為にお弁当やお惣菜を買いますが、味が濃いといいますか、甘辛が強くて食べにくいものが多いのです。
このような濃い味つけが現代人の好みなのか?と、いつも考えさせられてしまいます。
少しずつ調味料を増やし、約5年かかって今の味に。
それでも他店よりは薄いと思うのですが、薄味でじっくりと火を通して味つけしています。

特によく使うようになったのがお砂糖と濃口醤油です。
以前はミリンだけで甘味をつけていましたし、お醤油といえば淡口(ウスクチ)でした。
しかし、素材にも甘みがありまして、お砂糖を使うと素材本来の美味みが無くなってしまいます。
よってあまり使いたくはないのですが、致し方ないかと。
特に魚貝類など、少し薄く味つけすると生臭いと言われますし難しいものですね。

当店の味に慣れ親しむと、外の味が濃く感じるとお客様が仰います。
ただ薄いだけでは美味しくありませんが、お出汁を芯にして味つけすると非常に奥深い味わいになります。
素材が本来持っている美味みに耳(口?)を傾けながら食すと新しい発見があることでしょう。
どれを食べても同じような濃い味つけにはない世界です。

takenokobentou.jpg 春の筍ご飯

薄味に慣れると味覚も研ぎ澄まされていきます。
脂っこい肉料理や塩分(濃い味)などを摂りすぎている現代人。
少しずつ、薄味生活しませんか?

※淡口醤油は濃口に比べて塩分が多めですので、使い方には注意が必要です。
当店の炊き込みご飯はお出汁(カツオダシ)をベースに作ります。
しかし例えば、豆ご飯や菜めしなど、昆布出汁で炊飯する時に重要な調味料が塩です。

通常の食塩や精製塩は塩化ナトリウムが99パーセント以上。
食味はただ塩辛いだけです。

昔ながらの塩・・・海水を汲み上げて天日で干して作る。最終的には塩釜で完成させます。
こういった自然塩は塩化ナトリウムが約85~90パーセント。
残りは天然のミネラル成分です。
食味は辛いだけではなく、まろやかな甘みさえ感じます。
ただ手間ひまをかけますと、必然的に高価になってしまいます。

私は調味料にもこだわりがありますが、安いお弁当を作る上では限界もあります。
ですがやはり本物を使いたい!食べていただきたい!
という思いが強く、採算度外視でついつい仕入れてしまいます。(苦笑)
私のおすすめは「海の精」
驚くほど高価ですが、百貨店や高級スーパーで一度買ってみてください。
塩の美味みを再認識されるでしょう。

uminosei.jpg 海の精

しかし中には「そんなもの使っても誰も分からない」と言う方もおられますが、私の自己満足でもけっこうと開き直って使っています。
当店のお弁当も天日塩と同じく手間ひまをかけてはいますが、同じような手間賃はいただけません。
たとえ10円でも・・できる限りお安くご提供できるように頑張りたいと思っております。




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非公開
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2007/10/08
職業:
料理家
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料理とお菓子の研究
自己紹介:
以前はこだわりの料理屋を営んでおりましたが、より沢山の方に召し上がっていただきたく、炊き込みご飯と雑菓子の店を本町にオープンいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

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