今日の献立
少し遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

早速ですが、年末のお料理の解説です。
少し献立に不備があり、大変ご迷惑をおかけしました。
これからは気をつけたいと思います。

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昨年の晩秋頃より一気に寒くなりました。
異常な気温は山の幸、海の幸に影響を及ぼし、不作不漁の連続。
年末の仕入れも困難を極め、泣きたい気持ちになりました。
にらみ鯛に使う型の良い鯛は毎年のことですが、車海老なども激減し、例年の約2倍。
スーパーに並んでいる輸入の有頭海老なら安定していますが使う訳にはいきませんし。
他にもニシンやサケが不漁で、数の子やいくらもかなり値上がりしました。
伊勢海老などのリクエストもありましたが、小さい割に高く、とても使う気にはなれませんでした。
ただ、昨年は衝動買いしましたが、もともと私は場所を取る伊勢海老はあまり好みではありません。
おめでたさの象徴ではありますが・・・すみません。

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【口取り】

本丹波黒豆・・・今年は24日から一週間かけて炊き上げました。鉄鍋に入れ極弱火でコトコトと。味つけは赤ザラメと本醸造醤油です。

いくら・・・昨秋は鮭が不漁でいくらもかなり値を上げました。サケの卵をシンプルに塩漬けに。

車海老の艶煮・・・いくら高くても海老抜きでは格好がつきません。活けの車海老を酒とミリン、薄口醤油でサッと艶煮に。

養老鮑・・・アワビの柔らか煮です。酒に大根と真昆布、アワビを入れて、約5時間蒸し煮こみに。柔らかい熱で長時間加熱すると、固いアワビも非常に柔らかくなります。

活魚蒲鉾・・・昔は鯛をすりつぶして蒲鉾を作りましたが、今は数を作るには不可能です。ずっと蒲鉾は省いておりましたが、お客様のリクエストもあり、京都で一番古い蒲鉾屋「いづ萬」さんから卸していただきました。お正月限定の日の出蒲鉾です。ハモとグチで作った本物の蒲鉾です。

栗金団・・・やはり栗も不作でかなり値を上げました。毎年仕入れる超大粒の岸根栗。鳴門金時のペーストで練り込んだきんとんです。

新牛蒡叩き・・・走りの新ゴボウをサッと湯がいて寒風にさらし、擂った金ゴマのタレに漬けて3日間なじませました。

水晶銀杏・・・超大粒の藤九郎銀杏を酒と塩だけで煎り煮にしました。

一寸豆・・・「豆に働く」空豆の塩茹でです。お歯黒に切れ目を入れて食べやすく。

絹莢(きぬさや)・・・年末になるとこれほど値上がりする野菜もなかなかありません。輸入品が主流ですが、やはり国産は柔らかいですね。

百合根団子・・・百合根の大葉を塩蒸しした後にシロップに漬け込みます。半分はペーストにし、残りの大葉を包んでお団子に。

スモークサーモン・・・天然の紅鮭を桜のチップで燻製に。

卵黄味噌漬・・・徳島地鶏の有精卵を3日間西京味噌に漬けました。

【酢の物】

真鯛の生寿司・・・生寿司とは生魚を酢で締めたものです。宇和島の天然真鯛をキズシにしました。

狭腰の生寿司・・・サゴシとはサワラの幼魚です。キズシは皮ごと食べますので、皮が薄くて柔らかい狭腰を使います。

本柳葉魚南蛮漬・・・北海道の本シシャモをサッと揚げて南蛮酢に漬けました。頭と尾を落とそうと思っていましたが、送られてきたシシャモは予想よりも小さく(苦笑)、そのまま使いました。しかし本物のシシャモは超高級魚ですね。

千代呂木・・・先日ご紹介したチョロギです。サッと茹でて甘酢に漬けました。

サイコロ蕪・・・カブをサイコロに切り、甘酢に漬けました。リッチな味つけが多いおせちですが、時々このカブをつまむと、お口の中が爽やかになります。

酢取り茗荷・・・ミョウガもまた年末は高値になります。なぜでしょう?皆さん年末はミョウガを買い込むのでしょうか?サッと湯がいて甘酢に漬けます。

酢橘・・・徳島のスダチです。魚に搾ると爽やかですし、入れるだけで匂い取りになります。

【焼き物】

鶏松風・・・地鶏のミンチにお味噌、山芋、卵、松の実、レーズンなどを入れ、型に入れてオーブンで焼きます。ピリリとした粉山椒が隠し味です。

鰆(サワラ)の柚庵焼・・・サワラに塩をして、酒、ミリン、醤油の中に漬けます。柚子の香りがアクセント。

鱒之介味噌漬け焼・・・マス(キングサーモン)を塩で締め、粒荒味噌に3日間漬けて炭火焼きに。

柳虫鰈(ヤナギムシカレイ)の塩焼・・・通称若狭カレイ。手のひらでも数千円する高級魚です。身だけを外そうかと思いましたが、当店は炭火焼きですので遠赤外線の効果でヒレまで食せます。よって、身離れが良い様に切り込みを入れ焼き上げました。

【焚合せ】

早掘り筍・・・掘れたばかりの新筍を薄味で煮含めました。筍は水分が多く、一度炊いて一晩寝かし、翌日お出汁を入れ替えてもう一度炊きます。

龍眼穴子・・・瀬戸内産のメソアナゴ。ウズラの卵を芯にして巻き、お出汁で煮含めます。

本棒鱈・・・超スローフードのボウダラです。約2週間かけて柔らかく戻し、お酒とお出汁にお砂糖とお醤油で煮汁がなくなるまで炊きます。

昆布巻き鰊・・・下処理したニシンを芯にして棹前昆布で巻き干瓢で結びます。意外にも国産の干瓢(かんぴょう)が高くびっくりします。お酒とお水でゆっくり柔らかく炊きます。

生鱈子の旨煮・・・生のタラコを下処理し、干し貝柱のお出汁で炊きました。上品な中にもコクのある奥深い味わいです。

帆立貝柱の旨煮・・・大粒の帆立貝柱をお出汁で煮含めました。貝柱は炊くと縮みますね。(汗)

蓮根いとこ煮・・・レンコンと小豆。非常におめでたい取り合わせです。レンコンの穴に小豆を詰め、約2時間コトコト炊きます。

揚げ海老芋・・・海老芋を六方にむき下処理します。崩れない様に弱火で煮含め汁気を切ります。油でカリッと揚げれば出来上がりです。

梅人参・・・金時人参を梅形に切り、梅干しと炊いて風味を付けます。

芽慈姑(クワイ)・・・丁寧に扱わないと芽が取れてしまいます。クチナシの実で色付けし、お出汁で炊きます。「芽が出る」縁起物のクワイはホッコリとして美味ですね。

【珍味】

干し数の子・・・夏の強い日差しで干し上げた数の子です。数の子の命の歯応えがもの凄く、一度食べたら病みつきになります。ただ希少で高価。やはり高嶺の花ですね。

塩数の子・・・通常の塩蔵数の子も仕入れてみました。前浜産の最高級品。ただ、やはり干し子にはかないません。

本唐墨(カラスミ)・・・鯔(ボラ)の卵巣に塩をし干したものです。日本三大珍味の一つで、国産品は超高級珍味です。実はおせちの仕入れ値の5分の1が干し子とカラスミです。

海鼠腸(コノワタ)・・・ナマコの腸の塩辛です。ウチは瀬戸内産。一匹のナマコから一本しか取れませんので、必然的に高価になってしまいます。珍味類は値が張るものばかりですが、やはりお酒が進みます。

子持ち昆布・・・ニシンが昆布に卵を産みつけたものです。これもかなりの高級品。数の子とはまた違った食感です。

以上、39品です。

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昔は品数を増やすことばかり考えていましたが、今は逆に減らしたいと思っています。
品数を増やしますと、今度は数が入りません。
5個入るところが3個になります。
品数を増やすよりも、中身の濃いものに出来ればと思います。
また、今年は味移りを防げるかと、金紙のカップに入れてみました。
見栄えはあまり好きではありませんが、毎年いろいろ考えております。

遠方でお弁当は買えないけれど、おせちはどうしてもと毎年注文を下さる方がおられます。
毎年当店のおせちでお正月を迎えるのを楽しみにされているそうです。
非常に嬉しく温かいお言葉・・・年末の疲れも吹っ飛びました。
また気持ちも新たに頑張ろうと思います。
ご賞味下さったすべてのお客様、ありがとうございました!

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2007/10/08
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料理家
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自己紹介:
以前はこだわりの料理屋を営んでおりましたが、より沢山の方に召し上がっていただきたく、炊き込みご飯と雑菓子の店を本町にオープンいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

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<所在地>
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