今日の献立
あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

例年ですと一日か二日に更新するおせちの料理解説ですが、今年は少々遅れてしまいました。
大変申し訳ありません。
簡単ではございますが、以下解説です。



[黒豆]
飛切極上の黒豆を一晩水に漬け戻します。
割れた豆は取り除き、約半日炊きます。
柔らかくなったらそのまま一晩冷まし、あくる日に水を入れ替えてまたコトコト炊きます。
砂糖を少しずつ投入し、徐々に甘みをつけ、最後に少量の醤油を入れて馴染んだら火を止めます。
当店では黒く炊くために鉄鍋を使っています。
この鍋は一年に一度、黒豆を炊く為だけに使用します。
昨今は圧力鍋で手早く炊く方も多い様ですが、時間が美味しくしてくれます。

[干数の子]
北海道留萌でとれたニシンの卵を加工した純国産の数の子です。
しかも主流の塩数の子ではなく昔ながらの干した数の子を使用。
今回は四特だったので、1本が大体3千円します。
約一週間、米の研ぎ汁を毎日替えて戻し、掃除して酒で洗って出汁に仮漬けします。
翌日出汁を入れ替えて本漬けします。
数の子は加熱しませんし、水分が多いのでこうして二度漬けします。
独特の食味は干し子だけが持つ世界です。



[伊勢海老酒煮]
活けの伊勢海老を氷で締めてひもで縛り、たっぷりの酒で煮ます。
炊けたらザルに取り、冷まして出汁に漬けます。
翌日、頭と身に分け、食べやすく切ります。
今年は少し大きく、頭は別付けしました。



[車蝦]
活けの車エビの背わたを取り、ヒゲを落として艶煮にします。
こちらはサッと炊いて身が縮まらないように。
生きたエビは勝手に背が丸く炊けますが、死んだエビを使う場合はあらかじめ楊枝で留めて炊いて下さい。



[鮑筑前煮]
活けのアワビを3時間酒蒸しにして柔らかくします。
人参、ゴボウ、レンコン、コンニャクとアワビを筑前煮風に。
非常に時間のかかる筑前煮です。



[唐墨]
近海物のボラの卵巣を塩漬けにした珍味です。
一切れが約千円する高級品はお正月ならでは。
ねっとりとして風味が豊かな最高の酒の肴です。

[イクラ]
鮭の卵を醤油漬けに。
今年も鮭は不漁でした。
プチプチとした食感は幸せになります。



[蒲鉾]
久方ぶりにいづ萬さんのかまぼこを入れました。
蒲鉾は買うからいらないと言う方もおられますが、やはり老舗の蒲鉾は少し違います。
お魚をたっぷり使った京都で一番の老舗の蒲鉾はいかがでしたでしょうか。

[菜の花]
早春を告げる菜の花はまだこの時期は高価です。
足の早い菜の花は一番最後に仕込みます。
掃除して洗いサッと湯がきます。
ザルに取り、寒風で乾かして薄味の出汁に漬けます。

[叩き牛蒡]
細めの土ゴボウをサッと洗い、酢水で湯がいてアク止めします。
すり鉢ですった煎りゴマを調味し、熱々の湯がきたてのゴボウを入れて和えます。
そのまま一晩置けばできあがりです。

[焼き芋金団]
安納芋を炭火で焼き、皮をむいて粗くほぐします。
栗は甘露煮にして粗く潰し、安納芋と混ぜます。
鍋に入れて湯煎し、少量の砂糖と塩で味付けします。
焼き芋独特の香ばしさはいかがでしたでしょう。



[銀杏]
藤九郎の3Lサイズは日本一のギンナンです。
鬼殻を割り、薄皮をむいて下処理します。
あとは酒と塩で炒り煮にすれば水晶銀杏の出来上がりです。

[空豆]
一寸豆を塩茹でにし、お歯黒に切れ目を入れます。
黒豆は黒く日焼けするほどマメに働けるようにとの祝い肴ですが、空豆はお多福豆で福が来るようにとの願いがあります。



[鰆味噌漬]
今回は一本釣りのサワラが入荷。刺し身にできるほどのものは珍しい魚です。
サワラを下ろし、切り身にし、西京味噌に3日間漬け込みます。
炭火で焼けば香ばしくて美味しくなります。

[サーモン幽庵焼]
サーモンを切り身にし、酒とミリン、醤油の地に漬け込みます。
炭火で焼き、炙りながら照り焼きにしました。

[穴子山椒焼]
近海物のアナゴを開き、山椒醤油で焼きました。
いつもは鳴門煮にする穴子ですが、今回は焼き物にしました。

[厚焼き玉子]
こだわりの卵「蘭王」を使いました。
卵に魚のすり身、山芋などを混ぜてオーブンで焼きました。
厚切りの卵焼きは贅沢な一品です。



[鯛の生寿し]
近海物の天然の真鯛を上身にし、薄塩を当てて適度に水分を抜き、皮目に熱湯をかけて松皮にします。
柔らかい酢に数時間漬ければキズシの出来上がりです。
おせちに生魚は入れられませんので、お刺身代わりの一品です。



[狭腰の生寿し]
サゴシとはサワラの幼魚です。
皮ごと食すキズシは皮が薄いサゴシの方が向いています。
鯛と同じく上身にし、こちらは強塩を当ててしばらく置きます。
塩を洗い落とし、甘酢に約半日漬け込みます。

[サーモン蓮根]
レンコンの穴は先を見通す縁起物とされます。
レンコンを薄切りにし、サッと湯がいて甘酢漬けに。
スモークサーモンを酢蓮で巻けばサーモンレンコンの出来上がりです。
酢蓮とサーモンは相性が良いですね。



[海鼠]
見た目ナマコはグロテスクですが、食べれば美味しいものです。
伊勢の赤ナマコを買いましたが、ナマコ離れしたお値段でびっくりしました。
ナマコを下処理し、茶ぶりにして柚香酢に一晩漬けます。
本来、柚香酢には柚子を使いますが、庭のレモンを使いスダチをそえました。
生ならコリコリとした食感ですが、火を通すとまた違った感じになりますね。



[新筍]
今回は竹の子が不作でかなりの高値でした。
中国産でも少なかったようです。
この時期に使おうとするのがいけないのか、それでも毎年入れている竹の子は諦められません。
竹の子をアク抜きし、食べやすく切り、薄味で煮ます。
一晩置き、次の日出汁を入れ替えて再度炊きます。
竹の子も水分が多いので、水分と出汁を入れ替えて薄味をじっくりと含ませます。

[椎茸]
今年は巨大な香信(こうしん)を使いました。
いつもは甘辛い甘露煮にしますが、今年は旨煮にしました。
椎茸本来の風味と旨みが出たかと思いますが、皆さんはどちらがお好みでしょうか。

[慈姑]
芽が出る縁起物とされるクワイもここずっと高値です。
クワイの芽を落とさないように(すぐ折れます)皮をむき、水にさらしてクチナシの実で色付けして煮含めます。
中国産のクワイは苦みが強いようです。
その場合は長時間水や米の研ぎ汁に漬けたり、油で揚げると食べやすくなります。

[梅人参]
金時人参を梅の型で抜き、乱切りに切って炊きました。
いつもはねじり梅にむきますが、趣向を変えてみました。



[鯛の子]
これも高くて閉口しました。
鯛の子を切ってさらし、生姜を入れた甘めの出汁で煮付けました。
生の魚卵は今だけの食材です。



[玉蒟蒻]
昔の製法で作られた昔コンニャクです。
噛めば歯ごたえがあり、コンニャク本来の旨みがあります。
コンニャクも最近は軟弱になりましたね。

[堀川牛蒡]
太く長い堀川ゴボウ。
土を洗い流し、輪切りにして柔らかくアク抜きします。
今度は出汁で炊き、中心の穴に和牛の時雨煮を射込みます。
お弁当には肉類を入れませんが、おせちには時々入れています。



[棒鱈]
真ダラを開いて寒風に干したものです
米の研ぎ汁を毎日取り替えて約半月かけて柔らかく戻します。
食べやすく切り身にし、凧糸で縛り、酒をたっぷりと使って旨煮にします。
ハラハラとした身は当店でも人気のメニュー。
その手間ひまから献立から外したいのですが、難しいのが現状です。

以上。
年末は暖冬で心配が尽きませんでした。
食材もかなり値上がりし、やりにくい年でした。
当店のおせちはほとんどがリピーターの方で大変ありがたく思っています。
今回も沢山のご注文をありがとうございました。
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しきしき
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非公開
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2007/10/08
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料理家
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料理とお菓子の研究
自己紹介:
以前はこだわりの料理屋を営んでおりましたが、より沢山の方に召し上がっていただきたく、炊き込みご飯と雑菓子の店を本町にオープンいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

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