今日の献立
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新年あけましておめでとうございます。
旧年中はご贔屓にあずかり本当にありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今日は年末の疲れも少しとれ、お雑煮を食べ終わったところです。
雑煮は男が作るものとはいわれますが、我が家でも私が担当します。
おせちがありますから、出汁に焼いた丸餅に鰹の削り節のみのシンプルなものです。
毎年ですが三が日が一番ホッとする時間です。

で、今回もおせちをお買い上げいただき誠にありがとうございました。
御献立はお付けしておりますが、この場をかりて少し解説したいと思います。


平成三十年おせち献立



【干数の子】
今年は十分な干し子が確保できました。
硬く干した乾物の状態のものを、米のとぎ汁を毎日替えて約一週間かけて戻します。
大きさは3倍ほどに膨らみ、塩蔵品とは比べ物にならないほどの弾力が生まれます。
戻した数の子を酒で洗い、出汁に二度漬けします。
数の子は傷みやすいので酒をきかせてあります。
かの北大路魯山人も「数の子は音で食うもの」と申しましたが、この数の子を味わえばそれも納得がいきます。



【黒豆蜜煮】
京丹波産の極上品を時間をかけて煮含めます。
コトコト弱火で三日間ほど炊き柔らかく仕上げます。
親指と薬指で挟み簡単に潰れる位に・・、または壁に投げつけてペチャっとひっつく位に柔らかく煮ます。
それから蜜に仮漬けし、一日置いて蜜を入れ替えて本漬けします。
昨今は圧力鍋を使って短時間で仕上げる方もいますが、時間が美味しくしてくれる料理もあるかと思います。



【蒸し海胆の炙り】※三段のみ
今が旬の昆布森(釧路)産の蝦夷馬糞海胆(えぞばふんうに)。
真昆布で挟んで塩をして蒸します。
上がりにバーナーで炙り、更に香りを引き出します。
昆布森産の海胆は箱折り5000円はする高級品です。



【唐墨】
お正月といえばカラスミです。
鯔(ぼら)の卵巣を塩漬けにした後に天日で干したものです。
以前は店で作った時期もありますが、空気の汚れた都会ではやはり難しい。
自家製の数倍はしますが、今は信頼のおける専門の業者から仕入れています。
日本近海でとれた鯔の卵を海風と天日で干した200gの極上物です。
カラスミは大きければ良いというものではありません。
粒子が粗くなりますし、逆に小さいと物足りない・・
150gから200gくらいがよろしいのではないでしょうか。



【紅鮭燻製蓮巻】
スモークしたサーモンにもいろいろあります。
特に多いのがトラウトです。
トラウトは虹鱒(ニジマス)を海で養殖したもので、手頃な価格が人気です。
ただ味の面では難アリで、当店では天然紅鮭のスモークサーモンを仕入れています。
レンコンを薄切りにして甘酢に漬けて酢レンコンを作ります。
そのレンコンでスライスしたサーモンを挟んだもので、濃厚なサーモンも爽やかに食せます。

【イクラ醤油漬】
今年は鮭が極端な不漁で筋子も高騰。
例年の2倍以上に跳ね上がりました。
北海道を筆頭に、岩手、北米産と安くなります。
北米産が安いとはいっても、昨年の国産よりも高値です。
当店では北海道産を、今年は醤油漬けで盛り込みました。

【鮑蒸し煮】
以前は三段重のみだったアワビも、今ではすべてに入れています。
活けの鮑を塩洗いし、酒と昆布、大根と一緒に5時間蒸し煮にします。
煮汁を漉し、調味してさらに煮て仕上げます。
硬い鮑も美味ですが、時間をかけて加熱すると柔らかくなり食べやすくなります。



【炙り伊勢海老昆布〆】※三段のみ
伊勢海老の身をはずし、バーナーで炙って昆布で締めます。
1日置くと水分が飛んで濃厚になります。
ほのかな昆布の香りと海老の甘みは美味しいものです。



【車海老甘酒煮】
車海老を掃除し、たっぷりの酒と甘酒を使って煮たものです。
やさしい甘みと食感はやはり一番美味しいといわれる海老ですね。



【海鼠このこ和え】※三段のみ
海の鼠と書いてナマコ。
伊勢の赤ナマコを掃除し、柚香酢に漬け、このこ(ナマコの卵巣)で和えたものです。
もう少し薄く切ろうかとも思いましたが、時間を考えてやや厚めに・・
元日の朝では若干硬かったかもしれません。



【栗金飩】
今年は潰して栗きんとんに・・
いつもは渋皮煮にするのですが、今回の銀寄はあまりに大粒で重箱に入りません。(汗)
そこで今年は趣向を変えてみました。
栗を湯がいて裏ごしし、砂糖のみで味付けします。
素朴なものですが、栗本来の風味とコクを味わっていただけたかと思います。



【菜の花お浸し】
昨年末は野菜が高騰。
予定していた空豆も入荷がゼロで、絹サヤもほとんど無し。
辛うじて菜の花は確保しましたが、あまりに高額で躊躇しました。
菜の花の茎を落とし、サッと湯がきます。
旨出汁に漬けてお浸しに・・
痛みやすいので少し酒をきかせます。

【叩き牛蒡】
春ゴボウを半分に切りサッと湯がきます。
煎りゴマとカシューナッツをすり鉢ですり調味します。
そこに茹でたゴボウを入れて和えます。
しばらく漬け込んだらできあがり。
風味と食感が美味しい一品です。



【千代呂木】
不思議な根菜のチョロギ。
毎年お客様のお母様が栽培して下さいます。
普通は酢の物ですが、今回は塩茹でにして叩き牛蒡と和えました。

【花甘藍塩蒸し】
漢字にすればハナカンラン(カリフラワーの和名)です。
このカリフラワーもびっくりの1つ800円!
食の世界に身を置き30年以上になりますが、こんなに仕入れに苦労した年も記憶にありません。
カリフラワーを小房にし、塩をして蒸しました。
サラダ感覚の一品です。

【鰆柚庵焼】
1メートルはあろうかと思う本サワラ。
今は最も脂がのり、身も締まって刺身でも食せる品質でした。
鰆を厚めに切り、柚子を入れた幽庵地に数時間漬け込みます。
水気を切り、串に刺して炭焼きにします。
お味は上品にし、魚の旨みを味わっていただけたかと思います。



【鱒西京焼】
脂ののったマスを白味噌に漬け込み炭火で焼きました。
鮭よりも脂があり、ほのかに香る白味噌は食べ応えがあったかと思います。



【貝柱粕漬け焼】
帆立の貝柱を吟醸酒の酒粕に漬けて炭火で焼きました。
貝柱の甘みを感じる一品。
ほのかな酒粕の香りもご馳走です。



【厚焼玉子】
昔卵の卵黄にハモのすり身を混ぜて焼き上げた、かなり豪華な厚焼き玉子。
色は自然の黄身の色ですから驚きです。
濃厚で食べ応えがある大変贅沢な玉子焼きです。

【鶏松風】
地鶏のミンチに魚のすり身を入れ、調味してオーブンで焼いた松風。
こんがりとして重量感があり、人気の一品です。

【蓬麩照り焼】
蓬麩を薄味で煮含めて一晩置きます。
串を刺し、炭火で照り焼きにして仕上げた精進料理。
コシのある食感とよもぎの香りは春を感じさせてくれます。



【真鯛の生寿司】
真鯛もにらみ鯛の需要から年末には高騰します。
特に型のいいもの(1~1.5kg)が人気で、当店もそのくらいのものを求めます。
今回も近海天然物の良い鯛が入荷してホッと一安心でした。
鯛を松皮作りにし、酢で締めてキズシにします。
鯛の持ち味を生かす為にほとんど味付けはしないので、物足りない方にはお醤油を勧めています。



【狭腰の生寿司】
サゴシとは鰆の幼魚です。
皮ごと生食しますので、皮の薄い狭腰を使います。
こちらは酢を調味し、ある程度の味付けをします。
漬ける時間は鯛の約4倍で、しっかりと漬け込みます。
関西のお正月には欠かせない一品です。



【本柳葉魚南蛮漬】
当店のご飯でもシシャモというと軽く見られがちです。
一般に流通している柳葉魚とは、実は本当の柳葉魚ではなく樺太シシャモ。
今回使ったものは本物の柳葉魚で希少な高級魚に属します。
柳葉魚をサッと焼き、南蛮酢に一晩漬けます。
特にクセのない魚でどのように調理しても美味。
もっと沢山の方に理解されれば良いのですが・・



【二十日大根甘酢漬】
年末は雑煮大根も品薄で、近年まれに見る不作でした。
いつもはカブを使うのですが、今年はかわいいサラダ大根を使用。
皮むきして塩をして柔らかい甘酢に一晩漬けます。
爽やかで濃い味の料理の箸休めにもなります。

【新筍土佐煮】
出てくるのが遅くずっと心配でした。
今回は希少な合馬(北九州)産を買うことができました。
やはり土が違いますね、合馬は。
筍をたわしで洗い、糠で湯がいてアク抜きします。
そのまま一晩置き、皮をむいて水にさらします。
まず一度目の出汁で炊きそのまま冷まします。
翌日出汁を入れ替えて二度炊きします。

筍の水分と出汁をすべて入れ替えて、薄味でも日持ちするようにします。
かなりの薄味で驚かれた方もいたでしょうか。
私は特に筍には思い入れが強く、出汁と酒に極少量のミリンと醤油のみで調味します。
普通に醤油と砂糖を使って濃く味付けしては筍が勿体無い、と思うのです。
筍の食感と味、風味、えぐ味・・
特に早春のものはアクが強い傾向があります。
えぐ味も美味しさ・・と私は考えています。



【冬菇椎茸甘露煮】
冬菇(どんこ)とは肉厚の原木栽培で作った干し椎茸です。
当店では中型を使用。
冷水で丸二日かけてゆっくりと戻します。
炊く時には戻し汁は使いません。
野暮ったい味になりますし、上等の椎茸はそのままでも美味しいものです。
水と酒で柔らかく炊き、醤油と砂糖で調味します。
煮汁がなくなるほど長時間炊くと、美味しい椎茸煮が完成します。

【芽慈姑旨煮】
芽が出る縁起物のクワイです。
慈姑もお正月だけの限定食材。
こちらも作る方が減っているのか、国産はずっと高値です。
しかし輸入物ではえぐ味や苦味がありますので、やはり国産をお勧めします。
中国産は糠で下煮して油で素揚げするとよろしいかと思います。



慈姑を六方にむき、クチナシの実で色付けします。
水に数回さらし、濃い出汁で旨煮にします。
ホクッとして芋のように美味。
もちろん芽も一緒に食べて下さいね。



【丸十甘露煮】
丸十とは薩摩芋のこと。
丸に十の旗印は薩摩藩のものですが、丸十とはそこからきています。
とはいえ、鳴門金時を使用。(笑)
極小さなSサイズを輪切りにして甘露煮に。
色、味、形とも料理のアクセントになります。

【梅人参】
恐怖の梅人参です。(汗)
なにが恐怖かといえば、むくのに手間暇がかかるのです。
金時人参を梅にむくのですが、肩はコリ腰が痛くなります。
しかし料理に花を添えてくれますので、毎年がんばっています。
むいた人参を下煮し、出汁に入れ替えて梅干しと共に煮ます。
お味は極薄味で・・
小さいながらも存在感はありますね。



【金美人参甘煮】
希少な金美人参を見つけたので衝動買いしました。
岡山の金美人参ですが、色が綺麗ですよね。
本来はサラダ等生食向きで、煮るのは珍しいかもしれません。
上品な食味は人参嫌いの方にも受けそうです。



【銀杏旨煮】
秋が旬の銀杏は毎年入れる食材です。
今年は銀杏までもが不作で、いつも使う藤九郎はクリスマスが終わってやっと出てきました。
例年なら3Lを求めますが、今年は2Lが最大サイズで育っていないとのことでした。
トンカチで鬼殻を割り、更に薄皮をむいて旨煮にします。
もっちりとした食感の生銀杏はやはり美味。
脇役ながら外せません。



【青蕗浸し】
青みに絹サヤを使うつもりがどこも品薄状態で代わりにフキを購入。
地元大阪産の蕗です。
蕗を板ずりし、熱湯で湯がいて冷水にとり、薄皮をむきます。
用意していた八方出汁に半日漬けて青みを生かします。
蕗はあまり炊くと黒っぽくなります。
薄味だと日持ちしませんが、爽やかな味と色、食感は蕗そのものでしょう。

【手綱赤蒟蒻】
そろそろいいかな?と思うのですが、色に釣られて毎年買ってしまいます。(苦笑)
滋賀名産の赤コンニャクは、味は普通の蒟蒻です。(笑)
しかし綺麗な赤色は縁起がいい。
値は高いですが、黒い蒟蒻よりはよろしいのではないでしょうか?



【蓮根いとこ煮】
先を見通す縁起物とされるレンコンの穴に小豆を詰めたおめでたい一品。
どなたからも感想をいただけませんが(涙)、当店では毎年入れています。
普通に炊くよりも断然手間暇がかかります。
また、小豆が中で暴れると蓮根が爆発して使い物になりませんし・・
お味も素朴で、まるで当店の人気がないご飯のようです。(苦笑)

【管牛蒡和牛射込】
太ゴボウをアク抜きし、中をくり抜いて和牛を詰めたものです。
牛蒡は下煮してありますし、牛肉は黒毛和牛を酒と醤油、砂糖で炊いています。
当店で肉料理が入ると驚かれる方もいますが、鶏や鴨などもよく使います。

【棒鱈旨煮】
人気の棒鱈もやはりお正月だけの食材です。
北国の寒風で干した真ダラを半月ほどかけて戻して使います。
ハラリと解ける食感と、一度干すことによって淡白な中にも旨みが出ます。
切り身にし、一つずつ凧糸で縛ります。



出汁と酒を贅沢に使い、二日かけて煮込みます。
昨今は炊く方も少なくなりましたが、棒鱈も関西のお正月には欠かせない一品です。



【穴子鳴門煮】
鶉の卵を芯にしてアナゴを巻いて煮たものです。
今年は魚屋さんの勘違いで巨大な穴子が入荷。
ちょっと困ってしまいました。
あまりに肉厚で巻きにくくて重箱に入るかと心配しました。
少々食べにくかったでしょうが、小さいよりは良かったでしょうか。

【鰊昆布巻】
ニシンを日高昆布で巻き、干瓢でくくって煮付けます。
これも時間がかかる一品。
喜ぶという縁起物ですが、いかがでしょう。



【子持ち鮎山椒煮】
京阪神で作れば有馬煮、京都で作れば鞍馬煮。
まあ山椒煮でよろしいかと。(笑)
夏に掃除しておいた山椒の実を使った甘露煮です。
子持ちの鮎を素焼きして荷崩れを防止します。
鍋に竹の皮を敷いて放射状に並べ、半日かけて骨まで柔らかく煮ます。
山椒の爽やかな香りが鮎に合います。



【酢橘】
スダチもかなり高騰しました。
そのまま食べるものではありませんが、香りとアクセントとして輪切りにします。

以上、四十一品


今回は特に野菜が高騰し、異常な年でした。
仕入れも苦労しましたし、数度のメニュー変更を余儀なくされました。

おせち作りは一品一品に時間がかかり普段のようにはいきません。
ただ毎年、皆さまに喜んでいただけますので、ここまで続けてこれました。
来年(年末)のことをいうと笑われますが、もうご予約もいただいております。
今回もご注文及びご賞味いただきありがとうございました。

今年も皆さまにとって良い一年になるようお祈り申し上げます。
また、しきしきごはんも変わらずに、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

尚、当店は9日(火)からの営業になります。
大型連休(お仕事の方もおられるのであえてこの言い方で)、いかがお過ごしですか?

実は最近、一汁一菜という言葉に賛同しています。
料理研究家の著書等もありますが、これは以前から沢山の方が提唱されていました。

江戸の時代から長屋に住む町人の食事は一汁一菜が基本でした。
ご飯に汁、おかずが一品。
一見質素ですが、今の食事よりもある意味贅沢だったのかも知れません。

「近くて便利」などというどこかのCMがありますが、一汁一菜でもきちんと手作りした物の方が、豪華で栄養があり、美味しいのではないでしょうか?

当店のお弁当は一汁三菜です。(汁は別売りですが)
これは日本料理の献立の一つで、ご飯と汁、主菜が一品に副菜が二品。
一汁一菜から見ればかなり豪華に思えます。
特に当店は炊き込みご飯がメインになります。
炊き込みご飯というものは、ご飯とおかずが合体したものでして、炊き込みご飯なら、後は汁物があれば十分満足できるかと思いますが皆さんいかがでしょう?
(ただ炊き込みご飯というものは以外に手間暇がかかります。汗)

今の世の中、仕事を持つ女性が多く、忙しい中での三菜は少し大変です。
例えば土井善晴氏はご飯に具だくさんのお味噌汁だけでも良いのでは?と仰っています。

忙しい中でも一品で良いからきちんと手作りする・・
無理をして食卓に沢山のおかずを並べようとすると、どうしても手抜きになります。
それなら例え一品だけでも丁寧に真心を込めて作りたいものです。

料理教室でも当初は三菜でしたが、今は二菜になりました。
これは私が献立作りをサボった訳ではなく(苦笑)、限られた時間内で丁寧に作りたいといった理由からです。

また私は、主菜と副菜と言い分けるのが嫌いでして、どちらも主菜だと思って作っています。
(元々日本料理にメインディッシュは無いといわれています)
当店のお弁当ではカロリー的にはそうでも、どれがメインかなどと思って作ってはいません。

少し話がそれましたが、肩肘張らずに無理はせず、一菜、二菜でも良いのできちんとした物を食べたい、作りたい。
飽食の時代にあって、食事の欧米化などから日本人の健康が奪われていきました。
そんな時代だからこそ、一度原点に帰り、食の重要性を考え直したいものです。
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

年末の疲れからかイマイチ体調が戻りませんが、お正月のこの気だるい感じも悪くありません。
まったりと過ごす三が日は一年で一番好きな時間です。

お店は早めにお休みをいただいておりましたが、おせちの準備で休みなくきっちり大晦日までお仕事してました。
今年もトラブルなく無事にお渡しでき、ホッとしております。

では恒例の料理解説を記したいと思います。

2017年度 おせち献立

【口取り肴】

「黒豆」
京丹波産の新豆を一晩米のとぎ汁で戻します。
割れたものを取り除き、コトコト煮ること一昼夜。
親指と小指で潰せるほど柔らかくなったらシロップと入れ替え蜜煮にします。
最後に少量の醤油で味を決めて仕上げます。
通常は重箱に入る黒豆ですが、すぐにシワが寄って固くなる性質上、当店では別添えで瓶詰めにしています。



「数の子」
今年は干し子(干し数の子)が高騰し、また数が少なく少ししか入荷しませんでした。
代用として、急きょ石狩川産の握り子(無冷凍の塩子)を仕入れました。
塩抜きした数の子を酒洗いし、鰹出汁に二度漬けしました。
塩子としては上等な握り子ですが、やはり干し子にはかないませんか?
来年に期待したいと思います。



「車蝦」
海老には近海物の活けの車蝦を使用。
クリスマスを過ぎれば高騰しますが、普通の有頭海老では格好がつきません。
数百匹の海老を一匹ずつ背わたを抜き、酒をきかせた煮汁で艶煮に。
火が入ったら一度引き上げて冷まし、再度煮汁に漬けて味を含めます。



「塩いくら」
北海道産の秋鮭の卵を塩漬けに。
今年も鮭が少なくイクラも高騰。
値上がりしか知らない世の中にはほとほと疲れてしまいます。

「唐墨」
鯔(ボラ)の卵巣に塩をして天日で干した日本三大珍味のひとつ。
今年は珍しく瀬戸内海産の鯔子を使いました。
ねっとりとした食味は最高の酒の肴。
お餅に入れて焼いても旨いです。



「鮑柔らか煮」
活けのアワビをサッと洗い、酒を入れた鍋で蒸すこと約5時間。
十分柔らかくなったら味つけし、冷まして味を含めます。



「叩き牛蒡」
新ゴボウをサッと洗い、酢水を沸かして固茹でに。
すり鉢で半ずりにした白煎り胡麻を調味し、熱々のゴボウを入れて胡麻和えに。
一晩寝かせて味が馴染んだら出来上がりです。

「栗渋皮煮」
今年は丹波の銀寄を使用。
一晩水に漬けた栗の鬼殻を剥きます。
渋皮を傷つけないように丁寧にしますが、数が多いので根気がいる作業です。
剥けたらしばらく炊いてアク抜きし、更に取り残した皮を掃除します。
もう一度アク抜きし、冷まして本炊きに。
極弱火で一昼夜。
非常に時間のかかる渋皮煮は高価なのもうなずけます。



「銀杏」
今年も特大の藤九郎銀杏を。
金槌で鬼殻を割り、更に薄皮も剥きます。
酒と塩で煎り煮にすれば水晶銀杏の出来上がりです。
銀杏も栗と並び非常に手間暇のかかる食材です。



「スモークサーモン蓮巻」
まずレンコンを薄く切り甘酢漬けに。
紅鮭を使った贅沢なスモークサーモンのスライスをレンコンに重ね、くるりと巻いたら出来上がりです。
レンコンとサーモンの相性が良い一品です。

「菜の花」
春の菜の花をいち早くお届け。
サッと湯がいてお浸しにしました。
ほろ苦い早春の香りは一番最後(30日)に作ります。

「若牛蒡」
蕗(フキ)を買うつもりが若ゴボウを発見!
いち早く使いたいとサッと薄味で炊きました。
これも春を感じますね。

「百合根」
ユリネは花に剥いても綺麗ですが、場所を取るので大葉の部分を。
肉厚で食べ応えのある大葉だけを贅沢に使用します。
サッと蒸してシロップ漬けにした上品な一品です。

「絹莢豌豆」
絹サヤも年末に高騰する野菜です。
みなさん青みに使うのでしょうか?
サッと湯がいてお浸しに。
シャキシャキとした食感がなんとも言えません。

【焼き肴】

「鰆の味噌柚庵焼」
近海物の本サワラを切り身にし、四日間柚庵地に漬けて炭火で焼きました。
当おせちに使う柚庵地はかなり薄味でじっくり漬けるには時間がかかります。
脂がのった寒鰆はやはり美味です。





「鰤の照り焼」
天然物の寒ブリを炭火で照り焼きに。
今年は例年に比べ高値でしたが出世魚のブリはやはり使いたい食材です。

「貝柱粕漬け」
帆立貝の貝柱を酒粕の床に漬け炭火で焼きました。
程よい酒の風味と貝柱の甘味が際立つ焼物です。



「厚焼き玉子」
今年は噂の卵「蘭王」を使用。
黄身の色が半端なく濃くてびっくりです。
贅沢に黄身だけを使い、すり身も混ぜてオーブンで焼いた一品。
リッチな卵焼きの極みとも言えます。

「松風」
昨年はやりませんでしたがリクエストに応えて今年は採用しました。
地鶏のミンチを主体にオーブンで焼き上げます。
沢山の具材や隠し味が満載の人気の献立です。

【酢の物】

「狭腰の生寿し」
関西のお正月には欠かせない鰆の幼魚を使った生寿しです。
生寿しとは酢で締めた魚のことですが、サバの生寿しが有名です。
塩で締めたサゴシを半日調味酢に漬けた一品です。



「真鯛の生寿し」
天然の真鯛に薄塩し、酢締めにした一品。
上品な白身は狭腰よりも薄味に仕上げています。



「蕪甘酢」
昔は菊花にしましたが、最近はサイコロ状に。
ややカリッとした食べ応えが食感も良く、程よい甘味と酸味が箸休めになります。

「諸子南蛮漬」
本モロコを素焼きにし、南蛮酢に漬けました。
小さい魚ですが、寒のモロコは脂がのっています。

「長老喜」
不思議な形をしたチョロギは毎年お願いして作っていただいております。
千代呂木とも書く縁起物で、年末しか出回りません。
サッと湯がいて甘酢漬けにしました。

【炊き合わせ】

「筍」
どうしても入れたい早堀りの筍。
今年も数が少なく争奪戦になりました。
アク抜きした筍を二度炊きして味を含めます。
筍は水分が多いため、一度煮ただけでは味染みも悪く傷みやすくなります。
小さいながらもコリッとした食感と春の香りがたまりません。



「冬菇椎茸」
原木椎茸を天日で干した本物を仕入れました。
戻すのは冷水で約二日かけてじっくりと。
昔は戻し汁を使いましたが、それだと椎茸臭くなります。
出汁も合いませんので、今は酒で炊いています。
椎茸本来の旨みと食感を出すには時間をかけて仕上げます。

「芽慈姑」
昨年は腐りが多く苦労したクワイ。
いっそ中国産でもと思いましたがやはり広島産を。
馴染みの業者さんから箱買いし、時間をかけて剥きました。
芽が出る縁起物とされるクワイは芽を折らないよう慎重に。
クチナシで色付けして再度出汁で煮込みます。
よく苦いと言われるクワイですが、私は苦いと思ったことは一度もありません。
ホクッとして芋のように美味しいクワイです。



「金時人参」
冬限定の金時人参。
梅に剥いて花を添えます。
今年は西洋人参も剥き二色にしました。
剥き物は時間がかかりますね。

「蓮根いとこ煮」
見た目が面白く、また縁起の良いいとこ煮もおせち限定です。
レンコンの穴に小豆を詰めて炊くのですが、詰めすぎると小豆が膨張してレンコンが割れてしまいます。
甘くない小豆の香りもまた良いものです。

「赤蒟蒻」
近江八幡名物の赤コンニャク。
赤いものといえばエビやイクラ、人参などがありますが、色目が面白いので赤蒟蒻を使用。
ただ味は普通の蒟蒻です。(苦笑)

「金時芋」
鳴門金時を使用。
潰して栗金団にとも思いましたが、あまりやらない丸十に。
クチナシで色付けし、面取りして甘露煮にしました。

「棒鱈」
真ダラを開いて寒風で干した古来からのスローフード。
干し数の子と並び、もはや絶滅危惧種です。
値が高く調理にも時間がかかりますので、あまりおせちにも入りません。
ただ当店のお客様にはファンも多く毎年がんばって炊いています。
米のとぎ汁を毎日交換し、約二週間かけて戻します。
煮崩れないように切り身を一つずつ竹皮でくくり、じっくりと柔らかく炊きます。
乾物ならではの旨みと食感は生の魚では出せない味です。



「松茸昆布」
昆布巻きにもバリエーションがありますが、今年は松茸を使いました。
ニシンやサケなどの魚を巻くことが多いのですが、これもよろしいかと。
松茸と昆布は相性も良く、またやりたいと思います。

「龍眼穴子」
普段は穴子だけを使った鳴門煮ですが、今回は鶉(ウズラ)の卵を芯にした龍眼に。
穴子と鶉は相性良く、美味しいものですね。
ただ、卵がすべって若干ずれた物もあり申し訳ありませんでした。

以上。

一つ一つを仕上げるのに時間がかかり、仕事はハードで普段のお弁当作りのようにはいきません。
ただ、普段触れることのない高級な食材を扱える時間は最高の一時でした。
ご賞味いただいたお客様にもお気に入りいただければこれほど嬉しいことはありません。

今年も沢山のお客様からご注文をいただきました。
作れる数に限りがあり、お断りしたお客様には大変申し訳ありませんでした。
気持ちを新たにまた次回がんばりたいと思っています。
どうもありがとうございました。
実は私、大の甘いもの好き。
和洋問わずに目がありません。
一時期は毎日食後に色んな店のケーキを食べていましたが、今は少々控えめになりました。

よく食べていた時は、当ブログでレポートしようかと思っていたのですが、写真を撮る前につい食べてしまいまして・・(苦笑)

で今回ご紹介するのは、かの有名な小山シェフのロールケーキです。
その名も、KOYAMA ROLL CLASSIC BUTTER。



最初にこれを食べた時は度肝を抜かれました。
なぜならあのコヤマロール(生クリーム版)と同じ作者とは思えなかったからです。
世間の人気とは裏腹に、私的にはどうも物足りなかったロールケーキは老若男女をターゲットにしたもの。
しかしこれは凄い! まさに大人の味です。

元は氏の作るチョコレートのファンでしたが、このケーキの完成度はかなりのもの。
簡単に買えないのが玉にキズですが、何度でも食べたい・・と思うものにはなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
新年明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

年末の疲れからか、まだ少し気だるい感じです。
当店の営業は6日(水)からとなりますので、よろしくお願いいたします。

おせちには献立をお付けしていますが、詳しい解説をここに記したいと思います。
今回は過去最多のご注文で、時間ギリギリのドタバタ劇。
大変有り難いのですが、少々きつかったです。

【口取り肴】

[京丹波黒豆]
当店は毎年1734年創業の篠山市の小田垣商店さんの新豆を使用。御店には飛切極上という一年寝かせたヒネ豆もあるのですが、私は新豆が好みです。納屋から引っ張り出してきた鉄鍋を使用。これで煮ると黒々と煮上がります。米の研ぎ汁で丸一日戻し、コトコトコトコト三昼夜。昨今は手っ取り早く圧力鍋で煮る方も多いのですが、時間が美味しくしてくれます。最後は砂糖と醤油で味付けし、当店独特の黒豆になります。この濃厚なコクと香りの為に手間暇は惜しみません!また、当店は乾燥しないよう瓶詰めでお付けしています。



[五万米=ごまめ]
最高級 舞鶴産のごまめを使用。祖母の形見の焙烙でカリッと煎ります。酒、味醂、砂糖、醤油、たまりを煮詰めて絡め、大阪やまつ辻田さんの柚七味で仕上げます。

[叩き牛蒡=ごぼう]
細目の土ごぼうの土だけを洗い流し、すりこ木で叩いて味染みを良くし、又、食べやすくして湯がきます。すり鉢に金胡麻と八方出汁、酒、味醂、醤油、砂糖、カシューナッツをすり混ぜ、熱々の牛蒡を入れて和えます。一晩寝かせれば出来上がりです。

[干し数の子]
当店の目玉の干し子。干し子は全数の子の1%以下の貴重品で超高級品です。毎日塩水を取り替え、一週間かけて戻し、酒で洗って出汁に二度漬けします。日本の海でとれた鰊(にしん)の卵を日本で加工したもので、塩子とは食べた時の食感がまるで違う異次元の世界。ウチ以外でこれを使うのは重よしさんと京味さんぐらいです。



[伊勢海老]
今年は伊勢海老が買えました。但し年末の伊勢海老は超高級品で場所も取る為三段重のみになります。鉋屑の中に入れられ活けで入荷。サイズはやや大きく重箱に入るかな?と思いましたが斜めにして何とか収まりました。身をブツ切りにし、頭の味噌を煮溶かし、酒で伸ばして西京味噌で仕上げました。姿は伊勢海老で味は車海老・・なんて言われますが、真っ当な伊勢海老はやはり美味。味も姿も王者の風格です。



[車海老]
鹿児島から活けで入荷。昔はおが屑に入っていましたが、昨今は保冷剤のみで生きています。跳びはねる中、一匹ずつ背わたを抜き、酒と味醂、醤油でサッと艶煮にしました。
背が曲がるまで長生きするように・・とのことから海老は長寿の象徴。欠かすことはできません。



[いくら]
鮭の不漁でいくらも値上がり。ずっと塩漬けでしたが今回は醤油漬けに。数の子と並び、魚卵は子孫繁栄の縁起物とされます。贅沢品ゆえ私もこの時期のみいくら丼を味わえます。(笑)

[唐墨=からすみ]
唐(中国)の墨の形に似ていたからとのご存知日本三大珍味の一つ。野母(長崎)の鯔(ぼら)の卵を使い、天日と海風で干し上げた高級珍味です。都会の汚れた空気や扇風機で作る料理人もおられますが、美味しい唐墨にはやはり海風が必要で、私はそれなりの業者さんから仕入れています。ねっとりした食感はいくらでもお酒が進みます。(私は下戸ですが・笑) ちなみにお餅に挟んでも美味しいもので、私もこの時期だけ食します。



[鮑=あわび]
これも三段重のみの商品。活けの黒鮑を掃除し、酒と大根で柔らかく蒸し煮込みにします。蒸し器で約5時間。柔らかな熱で蒸した鮑はコリコリとした生とはまた違った美味しさです。肝も添えて貝盛りに。

[渋皮栗]
今年の年末は栗が無く四苦八苦。毎年、山口の岸根(がんね)栗があるのですが、時期が遅かったか!今年は無理かなと思っていましたが、一軒だけ持っているお店が。ただ、最後の最後なので品質に責任が持てないと言われ、買った倍量を送ってくれた太っ腹の大将。さっそく剥いてみると以外や以外、見事な品質でした。渋皮を傷つけないように鬼殻だけ剥き、数回渋抜きしてコトコト煮ます。時間にして約24時間。剥くだけでもかなり時間のかかる献立で、渋皮煮が高級なのも頷けます。



[銀杏=ぎんなん]
大粒の藤九郎を使用。今回はご飯ほどの量はいらないのでやや気が軽い?とはいいましても、金槌で鬼殻を割り、続いて薄皮を剥き、最後に酒と塩で煎り煮にします。ぷっくり膨らんだら出来上がり。出来立ては水晶のように輝いているので水晶銀杏という料理ですが、日にちが経てば普通の銀杏になります。(苦笑)

[スモークサーモン]
ヒッコリーとクルミを使って約12時間スモークしたものです。サーモンは脂がのり、味、香り共に食べごたえ十分。サイコロに切ってイクラと親子和えにしました。

[菜の花]
春の食材菜の花です。菜の花は傷みが早く一番最後に作ります。例年なら沢山並んでいるのですが、今年は数が少なくどこにも無し。理由は分かりませんが、これも一軒だけ持っていました。今年の仕入れは注文しても難しく足を運んで探すこと数度。サッと湯がき、お浸しにしました。

[一寸豆]
空豆ですが、色が綺麗で摘みに良いのでここ数年入れています。L寸を買いましたがあまり大きくなかったのが残念。莢から出し、サッと湯がいて薄皮も剥きます。更に薄味で煮て味を含めました。食感も良く爽やかな一品です。



[絹莢=きぬさや]
国産の絹莢も年末には高騰します。よくある中国産に比べて小ぶりですが、柔らかく色鮮やか。塩茹でしてお浸しにしました。シャキッとした食感が美味。

[無花果=いちじく]
柔らかく戻した干し無花果を約1年赤ワインに。濃厚で食べごたえのある時間のかかる一品です。

[酢橘=すだち]
徳島の酢橘です。スライスして香りと色のアクセントに。

【焼き肴】

[鰆=さわら]
今年は良い鰆に恵まれました。お刺身にもできるほどの極上の鰆。鰆は身割れしやすく刺身にできるものは稀です。酒、味醂、醤油に漬けて柚子の輪切りを入れて柚庵(ゆうあん)焼きに。大きな鰆は脂ものって非常に美味。ちなみに当店の焼き物はすべて炭火で焼いております。

炭火の効能・・炭火の温度は約1000度にもなります。ガス火のように水分も含みませんのでカラッと焼き上がります。また遠赤効果で中から火が入りますのでふっくらとして理想的な焼き物に。何より香りが良いのが特徴です。デメリットはいこすのが厄介で非常に高価です。


[鮭・サーモン]
大西洋鮭(アトランティックサーモン)を西京味噌に漬けました。
約3日間味噌に漬け、炭火で焼きました。脂のりが良く濃厚な味わいです。

[貝柱]
帆立貝の貝柱を粕漬にしたものです。粕床に約3日漬け、炭火で焼きます。貝は縮むのが玉にキズです。(苦笑)

[厚焼き玉子]
地鶏の有精卵に白身魚のすり身を混ぜオーブンで焼き上げました。出汁巻きを入れることもありますが、食べごたえのある濃厚な一品。地鶏の有精卵は黄身の色が濃く、一切着色していません。

【酢の物】

[狭腰=さごし]
狭腰は鰆の幼魚になります。鰆は大きく皮も厚い。よって皮ごと食す生寿しには狭腰の方が適しています。狭腰もお刺身でも食せる極上品が入荷。今年は魚の当たり年です。(笑) 三枚に下し、べた塩をし、水分を抜きます。それから調味酢に約12時間漬け込みます。柔らかい味付けにし食べやすく・・。やはり関西のお正月にはこの狭腰が欠かせません。



[鯛=たい]
年末には恐ろしく高騰する明石の天然真鯛。特に私は1キロ~1.5キロのものを指定しましたので内心ビクビクでした。ただ出入りの業者さんも頑張ってくれて適正価格で入荷。捌いてビックリのこれまた極上品でした。鯛も生寿しにしましたが、こちらは味付けなしで、酢と昆布に少しの隠し味のみで。熱湯をサッとかけて皮霜作りにし、明石鯛の旨味を引き出しました。

[蕪=かぶ]
聖護院蕪をサイコロに切り甘酢漬けに。甘酢は柔らかくして二度漬けにし、更に真昆布の甘みををプラス。リッチな味付けが多い中、口中が爽やかになる一品です。

[長老喜=ちょろぎ]
なぜかお正月限定の食材ちょろぎ。生のちょろぎは土が多く、一つ一つ歯ブラシで洗います。形状が掃除しにくく時間もかかり根気がいります。サッと湯がいて甘酢漬けに。カリッとした食感が爽やかです。



【焚き合わせ】

[筍=たけのこ]
今年は暖かかったせいか筍も豊富で助かりました。福岡から入荷の国産筍。早堀りは元々高級品ですが、おせちサイズの小さいものは特に高価です。米糠を入れ大鍋でアク抜きします。皮を剥いて濃厚な出汁で二度炊きに。お味は薄めにし、春の息吹を感じられる一品です。



[冬菇=どんこ]
有機栽培の国産肉厚冬菇。生椎茸の数十倍はする高級品です。冷蔵庫に入れ冷たい水で約3日かけて戻します。それからコトコト甘露煮に。これほど肉厚なものは高級料亭の味。食べ応えのある重厚な一品です。

[慈姑=くわい]
おせちには欠かせない芽の出る縁起物。これもおせち限定の食材でしょうか?ここ数年は慈姑も高騰。何でも後継者不足で作り手が減っているのだとか。そこで台頭しているのが中国産です。八百屋さんが言うには埼玉の種を持って行き日本人が教えて栽培されているのだとか。よって見た目も味も遜色ないらしいです。おまけに値段は半額以下。ご家庭の方は国産を使うが、おせち業者はこぞって中国産を使うのだとか。私も心が揺らぎましたが、やはり広島の豆慈姑を購入。ただこれがドツボでした。年末限定の慈姑はある程度以前に収穫します。そのままダンボールで保管される為、特に今年は暖かかった時期と重なり著しく品質が低下したようです。剥いても剥いても不良品が多く、三倍量を仕入れるハメに。逆に規定内の薬品を使う中国産はビクともしません。色形良く不良品も皆無だとか。ただお味の面では国産が上・・とは思っていますが、何とも複雑な今年の慈姑でした。

[金時人参]
真っ赤な金時人参は真冬にしか出回りません。おせちの食材では赤は貴重です。ねじり梅に剥く年もありますが、今年は面取りした棒状に。サッと含め煮にしておせちに彩りを加えます。

[蕗=ふき]
実は当おせち30年近くの歴史の中でも初登場の献立です。春と言えば蕗ですが、お弁当の蕗ご飯の印象が強く敬遠気味に。(笑) 板ずりして皮を剥いて煮る・・この作業が大変なんです。サッと含め煮にした後に急冷して青煮に。ただあまり浅いと傷みやすいのでしっかりと味付けしました。

[蓮根]
阿波蓮根に内地の大納言小豆を詰めていとこ煮にしたおめでたい一品。手間がかかるので普段はできませんが、一見面白い料理です。私も初めて見た時は、一体どうやって作っているのだろう?と興味津々な調理法でした。

[蒟蒻=こんにゃく]
近江八幡名産の赤蒟蒻を取り寄せてみました。派手好きの織田信長が赤くするよう命じたといわれる赤蒟蒻。ただ味は普通の蒟蒻で、鉄分の力で赤く染めているのだとか。出汁と酒で上品に煮染めました。

[百合根]
最大サイズの百合根の大葉のみをシロップ煮に。昔は花に剥きましたが、食べにくく中の汚れが取れないので最近はこの形に。ホクッとした百合根は甘く美味しいものです。



[鯛の子=たいのこ]
鯛の子とはいいましても今が旬の鱈子(たらこ)です。助子(スケトウダラの卵)ですが、今年は大きなものが手に入りました。昨年の真子(真鱈の卵)も大きく美味でしたが、助子もこれほど大きいと食べ応えがあります。生姜をきかせて約3時間ほど炊きじっくりと味を含めました。

[棒鱈=ぼうだら]
当おせちの人気商品で、真鱈を寒風でカチカチに干したものです。干し数の子と並び、日本古来からの究極のスローフードで扱う店も少なくなりました。まず半月ほど毎日米の砥ぎ汁を替えて戻します。食べやすい大きさに切り、一切れずつ竹の皮で煮崩れないように縛ります。何度か下茹でして完全に戻し、出汁と酒で数時間炊きます。味醂を使うと固く締まるので味付けは砂糖と醤油のみで。汁がなくなるまで煮ると照りが出て美味しくなります。実はあまりの手間暇に廃止も考えましたがリクエストも多く毎年頑張っています。



[穴子=あなご]
穴子を下処理してグルグルと巻いて鳴門煮に。穴子の産地と渦潮をイメージした一品です。最近は魚屋さんにも巻いた穴子が並んでいます。ただあれは下処理せずにただ巻いただけなので非常に生臭い。楽ですが全くお勧めできません。巻いた穴子を出汁と酒で約2時間。贅沢な調味液と時間が濃厚な味を生み出します。

[白魚]
今が旬の近海白魚。近海とはいいましても白魚は汽水の湖で生活します。繊細な味は出汁と酒に白醤油で白煮にした早春の味です。

[昆布巻き鰊=にしん]
身欠き鰊を日高昆布で巻いた昆布巻きです。酒を主体に時間をかけて炊いた昆布巻きは濃厚な味わい。食べやすく一口サイズにしました。

以上。

当店のおせちは濃厚な黄金出汁と酒をたっぷりと使い時間をかけて作っています。リッチで濃厚な味わいで贅沢感を味わっていただけたかと思います。今回は慈姑以外は仕入れもしやすくやりやすい年でした。ただ数が多かったので時間がなく今回は写真も撮れず仕舞いで少し残念です。ご注文いただいたお客様、ありがとうございました!ご満足いただけましたでしょうか?
それでは、残りのお正月休みをお過ごし下さいませ。
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しきしき
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11
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非公開
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2007/10/08
職業:
料理家
趣味:
料理とお菓子の研究
自己紹介:
以前はこだわりの料理屋を営んでおりましたが、より沢山の方に召し上がっていただきたく、炊き込みご飯と雑菓子の店を本町にオープンいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

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